ギャラリー沼の底 第1話③
沼の底はどこにある?
前回の解説その②で、プロットのお話しをしました。
異界(異郷)訪問譚プロット
1.異界に行く
2.そこで何かの経験をする
3.異界から戻る
4.主人公が変化する
上記が一般的な異界訪問譚なのですが、『千と千尋の神隠し』において特筆すべきなのは、
異世界が二重構造になっている点です。
『千と千尋の神隠し』二重構造プロット
1.異界に行く:油婆婆が支配する世界
2.そこで何かの経験をする:油屋で働く
3.異界の異界=沼の底に行く:銭婆が住む世界
4.異界から戻る×2
5.主人公が変化する
異界の世界から見る異界とは、一体どういう事なのでしょうか?コインを使って説明してみます。
千尋たちが暮らす現実世界を表と見た時に、油屋のある異界は裏になります。
「異界の異界」とは、コインをもう一度ひっくり返した表面にあたります。
しかし始めとは異なる表になるので、表”(ダッシュ)としておきます。
表”(ダッシュ)を言葉で表現すると次のようになります。
「失われた現実」
「失われた故郷」
「現実の世界では今となってはどこを探しても存在しない場所」
画家たちが表現したいのはこの世界です。
悲劇、郷愁、空虚、、、過去であり理想の未来でもあるその場所。
手が届きそうで届かない、現実のようで現実ではない曖昧な領域。
その領域は画家だけが持っているのではなく、皆さんの心奥深くにもあるのです。
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