ギャラリー沼の底 第1話④
行きはよいよい 帰りはこわい
第1話「絵の無いギャラリー」解説はこれで最後になります。
世界の異界訪問譚を読むと、ある共通点に気付きます。
それは「行きはよいよい帰りはこわい」です。
行きはアッという間なのですが、異界に迷い込んだ方はどの方も皆さん帰りにご苦労なさいます。
『千と千尋の神隠し』でも主人公の千尋は次のように忠告を受けています。
油婆)「ここはね人間の来るところじゃないんだ。
八百万の神様たちが疲れを癒しに来るお湯屋なんだよ。」
「お前も元の世界には戻れないよ!」
釜爺)「行くにはなぁ、行けるだろうが…帰りがな…」
「昔は戻りの電車があったんだが、近ごろは行きっぱなしだ。それでも行くか?」
ちなみに異界訪問譚の中に”戻れなかったお話し”はあるのでしょうか?
・・・あるんです。
参考までに帰って来られなかった物語を一つご紹介します。
「どうかKappaと発音してください」という一文から始まる有名な作家が書いたお話しで、
青空文庫にもなっているので、もしご興味あれば読んでみてください。
『河童』
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/45761_39095.html
さて、幸いにも千尋は異界から戻る事ができました。しかも2回連続のミラクル偉業です。
戻れたら変化=再生が約束されています。
千尋には一体どのような変化が待っているのでしょうか?
その後の事を想像するとイメージが膨らみます。
まず現実的な所では、千尋たちは車で不思議の世界を後にし、
新しい引っ越し先のお家に帰ったのだろう、と思います。
実は人には【2種類の家】があります。
一つは肉体の体が帰る家。国があり住所がある家です。
もう一つは心が帰る家。
心が帰る家についてはこの先にも触れる機会がありますので、
今日はここまでにしておきます。
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