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1、考える力
『千と千尋の神隠し』湯婆婆は様々な魔法を使いますが、
その中でも印象的だったのが「名前を奪う」です。
千尋は本当の名前を奪われ、「セン」と呼ばれていました。
湯婆婆は千尋から名前を奪う事で他にも大事な何かを奪ったのですが、
それは何だと思いますか?
考える力です。
私たちは言葉を使って物事を考えるので、言葉を奪われたら考える事ができなくなります。
皆さまは考える時に、何語を使われますか?
ちなみに、私は日本語を使って物事を考えます。
考える時、もしくは無意識の時に出てくる言葉のことを「母語」と言います。
私たちは考え事をする時に、「母語」の影響力を考慮しなければなりません。
なぜなら、考えの方向が母語によって流されてしまうからです。
2、日本語の特徴
では日本語にはどのような特徴があるのでしょうか?
音声的な特徴、文法的な特徴、、、挙げたら枚挙にいとまがありません。
今回は心を鬼にして、ある一つの特徴にフォーカスを当てたいと思います。
題材に与謝蕪村の俳句を取り上げます。
次の2つの俳句の情景をイメージしてください。
① 五月雨や 大河を前に 家二軒
② 五月雨や 大河の前に 家二軒
違い、お分かりになりましたか?
たったひと文字の違いですが、視線の方角が変わりませんでしょうか?
皆さまの目の前には、「大河」と「家二軒」の、どちら側がフォーカスされていますか。
与謝蕪村は①の方を選びました。
彼は「大河」の方をフォーカスさせたのです。
もの事をどちら側から見るか?
この視点の違い、とても重要です。
日本語は、方角・方向にこだわりを持った言語のように思います。
与謝蕪村は、俳句の方が有名ですが、画家でもあります。
彼の絵は、俳句と同じように見せ方が上手なので、
機会があれば、ぜひ見てみてください。
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