015 勝負を終わらせる勝負

摩訶不思議なトーナメント表

タマとミケとトラ

突然ですが質問です。
「タマ」「ミケ」「トラ」と言ったら何を思い浮かべますか?

…猫ですよね。

では「久保田」「飛露喜(ひろき)」「十四代」と言ったら何を思い浮かべますか?

「日本酒」とすぐに答えられたそこのあなた!
さてはのん兵衛ですねw

私は皆さんに質問をし、皆さんはそれに答えてくれました。
最初の質問に対し「猫」と答えた際、皆さんのイメージ世界では何が起こっていたのでしょうか?
あなたが私の質問に対し「猫」と答えたのはなぜですか?

皆さんは「タマ」「ミケ」「トラ」から連想される【共通点】をイメージしましたよね?
それが「猫」です。

皆さんが「猫」と答えた瞬間、同時に皆さんはある物をバッサリと切り捨てたのですが、
それは何だと思いますか?

それは「タマ」という固体の名前であったり
「ミケ」の性別や「トラ」の毛皮の色、
触ったら毛皮がフワフワしている触感や、
「ニャー」という鳴き声。

皆さんはそのような具体的かつ詳細なイメージを、バッサリと切り捨てました。

 

捨象と抽出

このことを「捨象(しゃしょう)」と言います。
捨(すてる)+象(ぞう)です。

逆に「猫」という共通点の方は、「抽出した」と言います。

英語にすると抽出はPick up、捨象はDrop off が該当するでしょうか。
皆さんが「猫」と答えた瞬間、イメージ内ではその2つが同時に行われていた訳です。

日本酒も、捨象と抽出の賜物かと思います。
風や土、水や気温、湿度など、その土地のエッセンスがお酒の中に凝縮されている。
捨象(しゃしょう)する物、つまり捨てる物が多ければ多い程、
より濃いエッセンスを抽出する事ができます。

人生も失敗・挫折・成功の連続。
酸いも甘いも知り、宝のような経験や無駄な経験・・・
沢山の経験をしてこそ、捨てられる物が出来ます。
エッセンスは、それら捨てる物から抽出されるのだと思えば、
一切の無駄は無いのだと思えます。

「抽象画」と聞くと「難しい」「分からない」と思われる方が多いので、
「そんな事ないですよ」とお伝えしたかったのですが、
何となくイメージ伝わりましたでしょうか?

 

ピラミッド型のトーナメント表

本題はここからです。

皆さんは何かスポーツはされた事ありますか?
トーナメント表は見た事ありますでしょうか?
「トーナメント」とは勝ち残り試合の事で、最後まで勝ち残れば優勝です。
その対戦表なので、形はピラミッドになります。

さて、イメージの中でピラミッド型のトーナメント表を思い浮かべてみてください。

そのピラミッドの底辺に、<国語辞典に載っている全ての単語>を並べます。
そして「ヨーイドン」の合図で、抽出と捨象を繰り返してください。
抽出された物が上位に移動するので、ピラミッドを上へ上へと駆け登っていく事になります。

 

勝ち負けを終わらせる勝ち負け

一般的な勝負の世界では勝ったチームが残り、負けたチームは消えていきます。

しかしこの競争はかなり変わっています。
なぜならば対戦した両チームの共通点だけを残し、その後、どちらも消えてしまうからです。

一般的な勝負の世界で勝ち/負けにこだわると、
「決着のつかない勝負の輪廻の世界」に囚われる事になります。
ところが、抽出と捨象を繰り返すこの勝負は、普通の勝ち/負けではありません。

勝ち/負けを終わらせる、勝ち/負けです。

ピラミッドを上へ上へと駆け登ると最終的に一つだけが残ります。
最後に残る言葉。
それは一体何でしょうか?

そろそろ閉店の時間なので、これは宿題にしましょう。

難しい話ばかりだったので、今日はお疲れになった事でしょう。
最後の宿題は難しかったですか?
ではヒントを出しましょう。

「最後まで勝ち残る事ができたら、卒業できます。」

重要な内容なので、ぜひ時間をかけて考えてみてください。

今日のお話しはこれでおしまいです。
眠って目が覚めたら、新しい世界が待ってますよ。
お休みなさい。

ギャラリー沼の底 Océane

ギャラリー沼の底 Océane

ハラオチしながら世界をみる

1974年東京生まれ
ギャラリーアビアント アシスタント
家事代行piu-c(ピウシー)代表

祖父、伯父、父が舞台美術家であるが、自身は元バスケットボール選手。
物の見方と認識が専門。

選手引退後小学校教師を目指すが、情報量の多さと教育界の厳しい現実を知り断念。
情報を外側に求めると「知らない領域」が無限に広がってしまう事に気がつき、既に知っている情報をより深化させる道を模索するようになる。
長らくメンタルの引きこもり状態が続いたが、日本に住む2人の外国人との出会いと、コロナ禍による交流の断絶が契機となり、抽象的かつ感覚的なイメージを少しずつ言語化し発信するようになる。
情報分断の原因でありイメージ界最大の不一致でもある「有るイメージ」と「無いイメージ」を繋ぎ、イメージ世界のバリアフリーを目指している。

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