022 正しい多重人格のススメ

脳は主語を理解しない

のそのそ揺れる

今日は久しぶりに「あの」キャラクターが登場します。
大きな目玉と大きなお鼻。
玉ねぎヘアーの憎めないお婆ちゃん。
湯バーバです。
彼女が使える魔法はいくつかあります。
カラスに変身したり、指先で人や物を操ったり。
だけど、やっぱり今回も「名前を奪う」に焦点をあてたいと思います。

千尋は湯バーバに名前を奪われました。
それは”主語を奪われた”という風に取ることもできます。
今日は「主語の無い世界」を想像してみましょう。

動詞 :起きる、食べる、寝る、話す、流れる、飛ぶ、歌う、転ぶ、踊る、漂う、降る、揺れる、咲く、吠える
形容詞:美しい、悲しい、赤い、若い、新しい、軽い、汚い、愛くるしい、危ない、怒りっぽい
副詞 :ゆっくり、はっきりと、キラキラ、てきぱき、のそのそ、さらさら、ワンワン、まさか、きわめて

動詞、形容詞、副詞を使い文章を作ると、次のようなものができます。

・ワンワン吠える
・のそのそ揺れる
・てきぱき流れる
・さらさら踊る
・キラキラ跳ねる

…あら?主語が無くても違和感ないですかね…?

元々日本語は主語を省略する場合が多いので、無くてもいけちゃうんですよね。
「ワンワン吠える」この主語はすぐに想像できてしまいます。
では「のそのそ揺れる」は?ちょっと想像してみてください。
例えば、ローソクが「のそのそ揺れて」いたり。
カマキリが「のそのそ揺れて」いたり。
癖があって味のあるキャラクターが出てきませんか?
主語が無い方が逆に色々想像できて楽しいですよね。

異界はどこにある?

私はよく「ここにはペンはありません」
「皆さんはいないし、オセアンもいません」と、かなりクレイジーな事を言うのですが、
それは皆さんと私を分けて隔てる境界線や差を否定している訳なのです。
境界線が無くなった世界。
そこでは自分と他人の区別がなくなります。

『千と千尋の神隠し』油屋のある異界には様々なキャラクターが出てきます。
双子の魔女や八百万の神々です。
それをどのように解釈すればよいでしょう?

異界は千尋の内面世界にある

と読み取ることもできます。
千尋は無意識の内面世界に二重人格性や多重人格性を抱えていて、それに気づかず生きています。
双子は矛盾する考え方の象徴、八百万の神々は状況によって言葉・表現・態度を変える、いわゆるカメレオン俳優のような要素になります。
皆さんにも状況によって話し方や態度を変える、なんてことありませんか?

この多重人格の要素を持っていると、あらゆる存在に感情移入できるがゆえマイナスに働けばとても苦しみます。
しかしプラスに働くと表現力豊かな俳優になったり、芸術・ビジネスあらゆる分野で活躍できる可能性が出てきます。

役を演じる

主語の無い世界にあるのは、役割分担だけです。
油屋で働くナメクジや蛙のような姿の従業員には皆、役割分担がありますよね。
「父役」「兄役」という役割名称はちょっと面白いです。
さしあたり八百万の神々は「客役」でしょうか。
みなそれぞれの役を精いっぱい演じているだけです。
千尋は主語を奪われた事によりカオナシや双子の魔女、八百万の神々が自分と無関係の存在ではない、
自分と密接な繋がりがある存在だと気が付いていきます。

少し想像して欲しいのですが、現実世界に戻った千尋はその後どのように成長し、どのような大人になっていく事が予想されますか?
異界に来る前と後では、ものすごい差ですよね?
差のない世界に来ることで、結果的に差を生み出す事になります。
千尋がその後日本や世界で活躍する様子を想像すると、私は楽しくて仕方がありません。

今日のテーマ「日本語」にまつわるお話しは、橋本ゆみさんの番組<魂に目覚める「魔法の知恵袋」>の方でもさせていただいております。
もしよろしければそちらもお聞ききになってみてください。

そろそろ閉店の時間なので、今日のお話しはこれでおしまいです。
眠って目が覚めたら新しい世界が待ってますよ。

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魂に目覚める「魔法の知恵袋」
107話「上手な言葉の選びと視点の変え方」
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ギャラリー沼の底 Océane

ギャラリー沼の底 Océane

ハラオチしながら世界をみる

1974年東京生まれ
ギャラリーアビアント アシスタント
家事代行piu-c(ピウシー)代表

祖父、伯父、父が舞台美術家であるが、自身は元バスケットボール選手。
物の見方と認識が専門。

選手引退後小学校教師を目指すが、情報量の多さと教育界の厳しい現実を知り断念。
情報を外側に求めると「知らない領域」が無限に広がってしまう事に気がつき、既に知っている情報をより深化させる道を模索するようになる。
長らくメンタルの引きこもり状態が続いたが、日本に住む2人の外国人との出会いと、コロナ禍による交流の断絶が契機となり、抽象的かつ感覚的なイメージを少しずつ言語化し発信するようになる。
情報分断の原因でありイメージ界最大の不一致でもある「有るイメージ」と「無いイメージ」を繋ぎ、イメージ世界のバリアフリーを目指している。

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