030 おまえら肚を決めろ!

意識した時はじめてできるのが軸

インナーとアウターの意識の違い

オ)ラスボスさんにお聞きしたい事があります。
私抽象画ワークショップをやるんですけど、
以前「動き」をテーマに作品を描いたことがありました。
ゆったりした太極拳のような動きをしているモデルさんを描くのですが、
私は右手の動きをトレースしました。
そうしたら画用紙がグチャグチャになってしまって…。

一緒に参加していた方の中にとてもスッキリした線を描かれた方がいて、
私の作品とは対照的でした。
その方はダンスをなさっている方で、末端の動きではなく、
中心の動き:核となる動きを描いていたようなんです。

アウターとインナーのお話しをもう少しお聞きしてもよろしいですか?

ラ)今オセアンさんがお話しなさったことは、ほぼ同じだと思います。
運動の苦手な子初めて野球をやった子は、ボールという目標物があると
そこに一番近い手を伸ばす。
それをアウターと呼んでいます。
実は<自分の体をそこに寄せる>というインナーを先に動かしてから
最後に手を出せば誰でも簡単に取れたり投げられたりするんですけど。

サッカーも同じです。
蹴る側の足ばかりに意識のある子は空振りしてしまう。
だけど逆側の足に軸を持ち、
ボールに近寄って一番良い所で蹴れる子は綺麗に蹴れたりします。

これがインナーとアウターの<意識の違い>なんです。

オ)意識の違い?

ラ)はい。

オ)私はバスケットボールをしていた事があるのですがこの話を聞いて、
そういえばディフェンスする時ボールを見ていなかった事を思い出しました。
目の前の意思を持った存在、ボールを動かす主体の方を凝視していた記憶があります。

ラ)ディフェンスでボールを追いかけて手を先に出したら大概ファールを取られますよね?

オ)そうなんです。
アウターとインナーの話しと同じか違うかわからないのですが、
「肚」という言葉がありますよね?
それは日本人独特の感覚なんですかね?

ラ)そうです。
日本人独特ですし、僕がいつも授業や講義で使うハラって、
月偏に土と書く方の「肚」を使います。
これは和製漢字です。

オ)「腹」と「肚」はどう違うのでしょう?

ラ)「腹」は体の部位を指します。
「肚」は軸の事を指します。
人間における中心部、インサイドの軸を指します。
日本では、心の置きどころを肚に据える文化がありました。
例えば帯。
臍下丹田や腹式呼吸を落ち着かせるために肚を据えます。
「肚を据える」
「肚を割る」
肚が出てくることわざや言葉は、精神を表す事が多い。

オ)「肚」は日本人独特の身体感覚であり、日本の精神なのでしょうか?

ラ)僕は軸を研究しているのですが、体の軸が崩れると姿勢が崩れます。
運動していても姿勢が崩れれば怪我に繋がります。
かけっこが一番わかりやすくて、一生懸命がんばって走っている子ほど、
軸がブレブレでバラバラ。
一生懸命動かしているのに速く走れない子っているじゃないですか。
「軸を締めてこうやったら速く走れるよ」
と指導するんですけど、分からない。

なぜ分からないかと言うと<軸は意識の世界のもの>だからです。
大人でも軸を意識しないで生活する人はいます。

意識した時にできるのが軸

意識した時にできるのが軸。
肚も、普段は意識していないです。
複式呼吸だって、寝ながら(無意識で)複式呼吸する人なんて恐らくいないと思う。
大概の人は胸式呼吸です。
無意識で複式呼吸できる人は相当の達人です。
出来るのはヨガの達人か変人くらいだと思います。

【意識された時にはじめて出来るのが軸】

【意識された時にはじめて据えるものが肚】

という風に、ようやく結論が見えてきました。

ミ)ラスボスに肚の話を教えてもらい普段忘れがちなんですけど、
歩いている時や座っている時も「肚に意識をして歩いてみよう、座ってみよう」
意識した途端に変わるんです。
歩き方とか座り方とか。
体の在り方が変わるというか。

それを普段常にやると体にとっても楽だし、生き方も楽になると思いました。

ラ)50代60代の方にご説明した時に、肚に意識して階段を昇りましょうと言うと、
旅行先の階段がしんどい…と言っていた方が、
肚を意識しただけで「痛くならなかった」と言っていただいた事がありました。
歩き方:アウターは変えていないんです。

オ)意識だけを変えたのですね。

植物たちは脳を持たない

オ)昔の日本人は頭で考えるのではなく、肚で考えていたような気がします。
バスケットボール選手の時代に
「バスケットボールは芸術なんだ。頭で考えていたら遅い。
判断する時に感性が必要なんだ。」と教えられた。

よほど時間がある時には本を読んでいろんな方の意見を参考にし、
中長期の計画を立てる必要があるけど、
今ここで何かを決めなければならない時には頭ではなく、
肚で決める必要があるのではないのかな?

オ)植物にも生存戦略がある。
害虫が来たら仲間に知らせる、とか。
花粉を運んでくれる昆虫や鳥を、どうやって惹きつけるか?とか。

植物たちは脳を持ちません。
では一体どこで考えているのだろう?不思議で仕方がない。
「考える」のは脳だけではないのだろうな、と思うのです。

ラ)オセアンさんの今のお話し、これから重要になってくると僕は思っています。
AIの時代、頭の時代、脳化社会に完全になるのに、
人間はそこにばかり意識を奪われてしまっている。
体置き去り。
心置き去り。
その世界がやってくる事を、
みんな薄々は感じているのに言葉にする人があまりにも少ない。

オセアンさん是非この番組を通じて発信していってください!

オ)はい。肚を決めます!

ギャラリー沼の底 Océane

ギャラリー沼の底 Océane

ハラオチしながら世界をみる

1974年東京生まれ
ギャラリーアビアント アシスタント
家事代行piu-c(ピウシー)代表

祖父、伯父、父が舞台美術家であるが、自身は元バスケットボール選手。
物の見方と認識が専門。

選手引退後小学校教師を目指すが、情報量の多さと教育界の厳しい現実を知り断念。
情報を外側に求めると「知らない領域」が無限に広がってしまう事に気がつき、既に知っている情報をより深化させる道を模索するようになる。
長らくメンタルの引きこもり状態が続いたが、日本に住む2人の外国人との出会いと、コロナ禍による交流の断絶が契機となり、抽象的かつ感覚的なイメージを少しずつ言語化し発信するようになる。
情報分断の原因でありイメージ界最大の不一致でもある「有るイメージ」と「無いイメージ」を繋ぎ、イメージ世界のバリアフリーを目指している。

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